可愛くないって言わないで!!
あたしの言葉に、宇野くんは顔をひきしめてうなずいた。
「はい!」
「ありがと。じゃあね」
「藤村によろしく、おねーさん!」
元気よく言って、宇野くんは玄関に戻っていった。
なんて良い子。
将来ぜひお婿においで。
もちろんあたしのじゃなくて、真子の婿ね。
「真衣がねーちゃんしてるとか、意外だなあ」
にやにや笑ってコウが隣りに立つ。
その横っ腹に肘鉄をくらわせた。
「うぐぇっ」
「さ、戻ろ! ウォークラリーもまだ途中だし、午後からはミスコンもあるしね!」
「いってぇなあ……。ミスコン、お前もし優勝したらどうすんだよ」
横っ腹をさすりながらじとりと見てくるコウに、あたしは笑った。
「あっれ~? コウは沙弥じゃなくて、あたしが優勝すると思ってるんだ?」
「はあ? ちげーけど。でも万が一ってことがあんだろ」