可愛くないって言わないで!!
「ま、大丈夫じゃない? あたし思いっきり嫌われたはずだし。主に女子に」
「あ、それだよ。お前俺が言ったこと全然聞いてなかっただろ」
コウが言ったこと?
なんだっけ?
本気でわからなくて首を傾げると、大きなため息をつかれた。
「俺言ったよなあ? 自分をもっと大事にしろって」
「あ」
「全然大事になんかしやがらねえし。捨て身過ぎんだよお前は。ミスコンのことも、妹のことも。なんでお前があそこまで悪役やんなきゃなんねえんだ」
「なに怒ってんの? いいじゃん。あたしが悪者になれば、物事がスムーズに進むんならそれで」
「よくねえっつーの。これだから放っとけねえんだよ」
ぶつぶつ文句を言いながら、自転車の鍵を外すコウ。
コウ、わかってないのはコウの方だよ。
コウがいるからあたしはためらいなく悪役になれる。
コウがあたしを信じてくれてるから、あたしはダークヒロインを演じれるんだよ。