可愛くないって言わないで!!
傷だらけになっても、それを癒してくれる人がいるから。
あたしはいつでも戦える。
「おら、行くぞ」
差し出されたコウの大きな手。
それを握って、小学校をあとにした。
行きは楽な坂道。
帰りはきつい坂道。
「真衣、ムリすんな!」
「大丈夫! いいからコウは前向いてこぐ!」
「命令すんなっての!」
コウの自転車を押しながら、急な坂道を中学校目指して進む。
夏の日差しで熱を帯びた、銀色の自転車。
必死にペダルをこぐコウの背中。
ねえ、コウ。
あたし変われたよね。
沙弥と……そして、コウ。
アンタのおかげだよ。
自分が変わったこの夏を、あたしきっと、ずっと忘れないよ。