可愛くないって言わないで!!
沙弥、夢じゃないよ。
現実だよ。
やっぱり沙弥はこの学校のミスだね。
みんなに深く愛されてる。
「桂木さん! 3年連続優勝の殿堂入り、おめでとうございます! いまのお気持ちは!?」
実行委員の子たちにミスのたすきをかけられ、おもちゃのティアラをつけられた沙弥。
花束とトロフィーをもらってマイクを向けられても、沙弥はまだどこかぼんやりしていた。
「あ……」
「感動で言葉がでませんか!?」
「あ、え……」
「全校生徒が気になっていることですが。今回藤村さんの提案で急遽、優勝者には好きな相手とほっぺにちゅーという特典がつきました! 桂木さんは誰を指名されますか!?」
びくりと沙弥の身体が揺れる。
いやいやいや、ここで言うの?
全校生徒の前でちゅーすんの?
奥ゆかしい沙弥にそんなことできるわけないじゃん。