可愛くないって言わないで!!

「そう。俺部活やってないし、ダチもそんな多い方じゃないしな。あんな戦法でこられたら、さすがの俺も勝てないよ」




コウ……。


コウ、コウ、大好き。



改めてコウへの気持ちが膨れ上がっていくのを感じていると、小津くんが小さく溜息をついた。





「俺はずっと、コウに嫉妬してたんだ」


「嫉妬?」


「コウは俺にないものをたくさん持ってた。俺はなんでもそつなくこなせるけど、全力で打ちこめるものがなかった。自分より大切にしたいと思える相手もいなかった」



コウにはサッカーがあって。


沙弥っていう大切な幼なじみもいた。




「人付き合いなんて面倒だって思ってるくせに、誰からも好かれて慕われるアイツが羨ましくなったりもした」



小津くんの懺悔みたいな告白を、あたしは意外な気持ちで聞いていた。



何を考えてるのかわからない、

ちょっと近寄りがたい小津くん。


誰より秀でていて、なんでも持ってるように見えるのに。


ずっとコンプレックスを抱いてたのか。

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