可愛くないって言わないで!!


「サッカーをコウから奪うなんてまず無理だから、桂木を誘ったんだ。桂木が清水先生を特別な目で見てることに気付いてね」


「小津くんて……頭良いのに、すっごいばかだね」


「……俺、ばか? はじめて言われた」


「ばかだよ。なんでもそつなくこなせるのって才能じゃん。だったらサッカーで、真正面から勝負すればよかったのに」




その方が分かり易い。


あたしがそう言うと、小津くんは目を丸くした。




「そうか……勝負すればよかったのか」


「そうだよ。コウに勝ちたかったんでしょ?」



それとも、小津くんはコウになりたかったのかな。



ちょっと小津くんの気持ちがわかる気がした。



あたしも沙弥をうらやましいと思ったから。

ずるいって思ったから。



コウっていう幼なじみがいて、誰からも愛されてる沙弥を。



あたしと小津くんて、実は似てるのかもね。


あんまりうれしくないけどさ。

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