可愛くないって言わないで!!
「あああああっ!?」
不意に振り返ったコウが、
その瞬間を目撃して絶叫する。
コウの拳が飛んでくる前に、小津くんは笑いながらあたしと距離をとった。
「宗介てめぇっ!!」
「ははははは! お前がずるした罰だ。これくらいいいだろ」
「全然よくねえよ!」
ごしごしと、コウが腕であたしの頬を勢いよくこする。
い、痛い!
強すぎだから!
ほっぺ腫れる!
「真衣。俺が真衣を気に入ってたのはほんとだよ」
「宗介!」
「まだ卒業まで時間があるし。本気で光太郎と勝負してみようかな」
勝負ってなんの?
なんて、恐ろしくて聞けやしない。
せっかく小津くんのこと、腹黒メガネって思うのやめようと思いかけてたのに。
やっぱり小津くんは小津くんだった。
油断したあたしがばかだった。