可愛くないって言わないで!!
妹の方ができるの早いとか、ちょっと悔しい。
でもまあ許してやろう。
だってあたしにも、
ばかだけど、かっこいい彼氏ができたから。
真子たちの背中を見送って、中学校目指して歩き出す。
長い坂道のその手前に、夏の光を浴びて輝く、銀色の自転車を見つけた。
大好きな人が、自転車と停めてあたしを待っている。
「コウ! おはよう!」
手を振って、駆けだした。
コウが眩しい笑顔で手を振り返してくれる。
今日も並んで、この坂を行こう。
帰りも一緒に、この坂を下ろう。
きみの夏色の自転車に乗って。
夏はまだ終わらない。
もう少しこのまま、あたしたちを乗せて続いていく。