可愛くないって言わないで!!
学校からずっと、銀色の自転車に乗った島田光太郎が横にいる。
いまは坂道だから自転車を押して歩いてるけど。
「幼なじみで慣れてるとか言って、やっぱあたしのこと好きなんじゃないの?」
「なんだ、しっかり俺の話し聞いてんじゃん。返事くらいしろよ」
「わざと無視してんの!」
「ほんと可愛くねぇなあ。別にお前のあとつけてるわけじゃねーよ。俺んちもこっちなの」
「だからってなんであんたと一緒に帰らなきゃなんないわけ!?」
「お前んちどの辺? 俺、東町」
「言う必要ないし!」
東町とか言われても引っ越してきたばっかでわかるわけないじゃん。
自分の新しい住所だって全然覚えてないのに。