可愛くないって言わないで!!
「藤村、うしろ乗ってくか?」
突然こっちを向いて、島田光太郎がにっこり笑った。
「……はあ? うしろって」
「チャリ。ノーブレーキで坂道走んのきもちーぞ」
「なにそれこわっ! 乗んないよ。あんたとふたり乗りなんてするわけないじゃん」
「あっそ。じゃーまた明日な~」
自転車に軽やかにまたがると、島田光太郎はひらひら手をふり坂道を駆けおりていった。
颯爽、というより暴走と言った方が良いスピードでぐんぐん小さくなっていく。
「気持ちよさそーじゃん……」
じりじり肌を焼く太陽の光を浴びながら、あたしは小さく呟いた。
アイツの乗る自転車は、夏の日差しを浴びてキラキラと輝いていた。