可愛くないって言わないで!!
「……わたし、そんなに脚細くないから。このスカートの長さも、わりと気に入ってるの」
「ふうん……。それなら別にいいけど」
桂木沙弥の顔色はまだ悪い。
それでもあたしに笑顔を見せる。
ウソつきじゃん。
絶対なんかあるんでしょ?
言えばいいのに。
あたしに愛想ふりまいたって意味ないよ。
「沙弥……」
「じゃあ、わたし戻るね」
「桂木」
彼女は逃げるみたいに教室を出ていった。
それを少し遅れて、小津くんが追いかけていく。
島田光太郎は動かない。
「……なにあれ。傷ついてますーって顔。実は超あざとかったりして」
妙に居心地悪くて、それをごまかすように呟いた瞬間。
パン!
と小気味良い音と一緒に頬に衝撃を受けた。
「……は?」