可愛くないって言わないで!!
ちょっと嘘。
ムカついてるって意味じゃ気にしてる。
小津くんはおかしそうに笑って、あたしの肩を軽く叩いた。
「ならいいんだ。じゃあまた明日」
小津くんはそのまま教室を出ていく。
自分と島田光太郎の鞄、ふたつを持って。
クラスメイトたちもあたしをチラチラ見ながらも、声をかけてくることなく教室を出ていった。
「……また席交換してもらうの忘れた」
でもきっと、もう交換してもらうのは難しいだろう。
あたしは人気者の島田光太郎と桂木沙弥を敵にした。
こんな小さな学校じゃ、噂は明日には広まって。
またあたしはたくさんの人から嫌われる。
別に落ち込んだりしない。
遅かれ早かれこうなってた。
友だちなんて、いらない。