可愛くないって言わないで!!
「光太郎? どこ行くんだ?」
「便所」
「すぐ戻ってこいよ。そろそろ清水先生来るぞ」
島田光太郎は、返事もせずに教室を出ていった。
あたしの顔も見たくなければ、声も聞きたくないって感じ。
そんなのこっちだって同じだ。
「昨日、あいつにやられたんだって?」
小津くんが、あたしの左頬を指差した。
あんまり目立たないけど、そこは少し腫れている。
冷やしたけど、完全には腫れがひかなかった。
「あいつ、カッとなり易いからな」
「顔叩かれたの初めてだった。しかも男子。ありえない」
「あいつも一応反省してるよ」
はあ? どこが?
全然そんな風には見えないんですけど。
「反省してるし後悔もしてる」
「絶対ないでしょ」
「してるよ。ただ、謝るとなると色々と葛藤がね」