可愛くないって言わないで!!
「うわ。ふる~い」
新しく通う中学の校舎が見えてきた。
壁は茶色く汚れてるし、門は錆びてるし、全体的に小さい。
前の学校はもっと綺麗で大きかった。
「お母さんの母校だもん。古くてあたりまえかあ」
全校女子からハブられるようになったあたしは、不登校になった。
それで3年の夏休み開けっていうこの中途半端な時期に、お母さんの地元に引っ越してきた。
あたしとお母さんと妹の3人で。
お父さんは単身赴任っていう形になった。
寂しそうだったけど、あたしの為だから我慢してくれるんだって。
別にいいのに、転校なんて。
どうせ新しいこの学校でも、あたしは女子に嫌われる運命なんだから。
「なるべく目立たない努力はするけどさあ」
神様に愛されて生まれてきてしまったあたしが、目立たずいられるわけがない。
だってどうがんばったって、あたしは可愛いのだ。
気が進まない。
足が重い。
ちょっと憂鬱な気分で、あたしは新しい学校へと足を踏み入れた。