可愛くないって言わないで!!


じゃあ先生はきっと、謝れって思ってるよね。


あたしは抱えた膝に顔を埋めた。



「あたし……謝った方が良い?」



しばらく答えはなかったけど、


なぜかぽんと頭に手が置かれて、そのまま優しく撫でられた。



「昔話を聞いて、藤村はどうしたいと思った?」


「あたしは……」



答えようと顔をあげた時、

視界にいままさに話題になっていた片方が写りこんだ。



とても綺麗で

大きな傷を隠してる女の子。


桂木沙弥が、小津くんと並んで現れた。



ふたりがこっちに気づく。


桂木沙弥は驚いたように少し目を見開いて

すぐに微笑み、会釈した。


あたしの隣に、清水先生がいるからだ。


ここにいるのがあたしだけだったら、彼女はどうしただろう。



それでもやっぱり、笑った気がする。

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