可愛くないって言わないで!!
転校初日以上の注目を浴びながら廊下を歩く。
教室の前に、島田光太郎と小津くんが立ち話をしていて、
小津くんが先にあたしに気づいて、メガネの奥の瞳を丸くした。
そのあと遅れて、島田光太郎があたしを見る。
「……えっ!?」
なにあのまぬけ面。
ウケる。
アゴはずれてるみたい。
「藤村、おまえ……」
すれ違いざま、島田光太郎が何か言いかけたけどムシ。
悪いけどあんたにかまってるヒマないの。
あたしが会いたい相手は隣のクラスにいるんだから。
閉まっていた隣のクラスのドアに手をかけて、勢いよく開けた。
「え!?」
「ちょっとあれ……」
「あの子って隣の」
「なに考えてんの?」
教室にいた生徒の視線が、一気にあたしに突き刺さる。