可愛くないって言わないで!!
うん。やっぱり彼女にもよく似合う。
あたしの方がもっと似合うけど。
「いいじゃん。そういう明るい色の方が断然似合うよ」
「あの……ええと」
「スカーフ、可愛いでしょ?」
「あ、うん。とっても可愛いと思うけど……」
「それあげる」
桂木沙弥は、スカーフに手をやって目をぱちくりさせた。
なんだよもー。
反応わるいな。
「謝る代わりにそれあげるって言ってるの!」
「でもこれ、あなたのじゃ……」
「あ。それは大丈夫。もうひとつあるから」
鞄から、同じパステルイエローのスカーフを出して、自分の胸元に結ぶ。
彼女の宝石みたいな瞳が、あたしのスカーフを映す。