可愛くないって言わないで!!



「ふふ……真衣。じゃあわたしのことは沙弥って呼んでね」


「沙弥……。うん。よろしく、沙弥」




どきどきしながら、右手を差し出す。


熱い。

なんでか手がぽかぽかしてる。


あたしのその手は、細い手にしっかりと握られた。



「こちらこそ、真衣」






久しぶりに、心からの笑顔がもれた。






ふと顔をあげると、


教室の入り口から島田光太郎と小津くんがこっちを見ていた。



島田光太郎が目を見開いて、口を開けっぱなしにして、

あまりにもあほ面をさらしていたから。




あたしは「ふふん」と


勝ち誇った顔であいつに笑いかけてやった。








謝らない。


正解なんて知らない。





そして、これがあたしの答えだ。


ざまあみろっ







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