可愛くないって言わないで!!
「ありがとう」
島田光太郎はなんとも似合わないマジメな顔して、
あたしを見つめそう言った。
真っ直ぐな、薄茶の瞳。
透きとおった、綺麗な目。
「……やめてよね。あんたにお礼とか言われる筋合いないし、キモチワルイ。暑いのに鳥肌立ったじゃん」
「お前なあ」
「なに。文句ある? ってゆーか、話しはそれだけ? もう帰っていい?」
「待った! 帰る前に、1発殴れ」
「はあ?」
殴れって、なにを?
島田光太郎を?
「暑さで頭沸いた?」
「マジメに言ってんの! お前の顔、叩いただろ。だから俺の顔、殴っていい」
ああ、そういうこと。
でもあたし、人殴ったことないし。
顔なんて殴ったら、か弱いあたしの手が折れちゃうかもしれないじゃん。