キアギス
始まりから終わりへ…
「ラーヌ(ワープ)」

俺は柚(ゆう)

今、俺はファイステリトリー家を滅ぼす旅に出ている。

本当はやめたいんだけど…

「柚!!早くしろ!!ファイステリトリーが逃げちまうだろ!!!」

この凶暴な兄・紗月がどうしつもファイステリトリーを滅ぼしたいらしい…。

俺も行かなくちゃいけないのかな…?

「そんなに急がなくて逃げないよ!!

「そうか?それより、俺から離れるんじゃねぇぞ!!お前は可愛いんだから!!!」

可愛いと言われても喜べないよ…。

「しかし、お前は本当可愛いな…。金色でサラサラの髪、整った顔、細い体、そして、全ての人に優しいその広い心!!全てがお前の良さを引き出している!!!」

「兄さん!恥ずかしいよ!!止めてよ!」

「恥じる必要は無い!!お前は堂々としていても良いくらい美しいのだから!!!」

もう、こうなったら止まらない。

…何処か買い物にでも行こうかな?

俺は兄さんを置いて、近くの小物売場に入った。

「甜花。由衣。気をつけていくんだよ」

「分かってますわ。私達は立派に使命を果たしますわ」

「悲しまないで下さい。私達は名誉ある使命を果たすのですから…」

「甜花…由衣…。お前らは本当にいい子だ…」

店の中では巫女っぽい恰好をした女の子が二人と、泣いている老人が一人いた。

なんか…来ちゃあ、まずかったかな…?

「もう、行きますわ。お元気でね御祖父様」

「あぁ、行ってらっしゃい」

俺は店から出ようかと思ったが足が動かなかった。

「あら、お客さん?何を買います?」

彼女は穏やかに笑って言った。

「あっ…いえ、帰ります…」

「優しいのね。気にしなくても良いわ。見ていって。品数は少ないけど良い物を揃えてあるわ」

「そうですか…」

その少ない品々の中に俺が探していた魔導書があった。

「あっ!!探していた魔導書!!!」

「この店には探していたモノが必ずあります。私達がいれば…」

笑っていた二人が急に悲しそうになった。

「私達を助けて下さい。使命だとしても悲しすぎる。貴方ならきっと倒せる。いえ、貴方達兄弟なら…」

「…どうして…俺達の事を…?」
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