キアギス
「甜花と由衣か?」

「はい、そうです。ファイステリトリー様」

甜花と由衣はもうファイス城に着いていた。

「ファイステリトリー様!!侵入者です!!!くそっ!!暴れるな!!」

俺は甜花達のいた部屋に連れていかれた。

「離せよ!!自分で歩けるよ!!!」

俺は兵士の手を払いのけた。

そのうちにファイスは俺の前まで来て目をしっかりと見ながら…

「…そなた…名を何と申す」

と言った。

「…ゆ…う」

「字は?」

「柚」

俺はその時、操られていたと思う。

後に知ったことだが、ファイスは人の目を見る事で操ることが出来たらしい。

「そうか…。柚くん。君は魔法が使えるかね」

ファイスは目を離さずに聞いた。

俺も操られているからか体がピクリとも動かなかった。

「少しなら」

「ならば、仕方ない『ハノワイルキ(魔法禁止)』それと『レマスモチルイ゛ムワ(操り人形)』」

ファイスは目をそらした。

俺は全身に力が入らず、その場に倒れた。

「『ワオ゛エ(うごけ)』」

身体が俺の意思とは関係なく動き始めた。

「そうだ。『アロギム(解除)』柚。家族はおるか?」

ファイスは目を見ながらきいた。

「…〜ぁ…」

俺は必死に喋ろうとする自分を抑えた。

「チッ…喋らないならまた操り人形にしてやろうか!?」

そう、ファイステリトリーが叫ぶと…

「そこまでだ!!これ以上テメェの思い通りにはさせねぇぞファイステリトリー!!」

紗月が乗り込んで来た。

「邪魔者が…『レマスモチルイ゛ムワ(操り人形)』『カズイリレケエ(紗月を殺せ)』これでどうだ!!」

勝手に身体が動く。

あぁ、紗月を殺してしまうのだろうか?

逃げてくれ…

兄さんより、俺の方が強いのだから……
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