青い少女の
空に入道雲が浮かんでいた。暑苦しい空気が身体中にまとわりつき、吹き出す汗でベトベトした。
玄関を出て右に自転車がある、ガレージの門を開けて自転車を道路に出した。
「暑いわね、お出掛け?」と向かいのお婆さんに声をかけられた。私は「図書館に…」と微笑んだ。
お婆さんが笑って手を振ってくれた。
日の傾き始めた夏休みの午後、逆光でお婆さんの顔は影で見えなくなった。
「私は巧く笑えた?子供らしかった?」
何とも言えない不安な気持ちで自転車をこぎ始めた。
ブルーのスカートが風にはためいていた。
ふと視線を後ろにすると真っ白な我が家が私を見下すように建っている。私はあの家が嫌いだ…
また自転車をこぎ始めた。ふと、さっきのお婆さんの不似合いな赤い口紅が頭を過る。

身体中が暑くなる、汗が服を湿らせた。
青い空とアスファルトが揺らいで見えた。

もうすぐ図書館に着く。
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