青い少女の
残像
席に座り本を開いた。
ただそこに居たい為に読む本…

全ての事には理由がある。




少女は本を手にしながら物思いに耽った。



私は新学期始まってすぐ、先生が泣いた事を思い出した。
帰りのホームルームで新しい先生は私たちに言った。「なぜ虐めをしたの?」
その問いかけに応える子供なんているわけない。
虐めを苦に手首を切ったそうだ。
一命は取り止めて助かったらしいが担任である彼女は責められたのだろう。
もちろん誰が虐めたのか知っている、何故虐められたのかも判る。
「誰がやったの?」

クダラナイ世界が私を取り巻いている。
そりゃ虐めた奴は悪い。死に逃げたあの子も悪い。だけどそいつらに気付かない親も泣いてる先生も罪はあると思う。
「私たちに興味がないからそうなるんだ。」
早く終わればいいのに…
あたしには関係ない。

いつまでこんな事に苛立つのだろうか…


確かにソコに生きているから苦しむし楽しいのだろう?

私には苦しみも喜びもそんな感情があった事すら解らなくなってる。

幸せの味を知ってるから人間は苦しむんだ…
ソレッて結局幸せな事なんだ。


私は窓の外の青い空を見つめながら思う。
耳障りな教師のすすり泣きに吐き気を覚えた。

ふとそんな事を思い出した。

教師の顔は思い出せないけどあの時の空は思い出せる。
ドロドロの人間劇場とハレーションを起こしてしまうような健全な明るい青空だった。


何が起ころうが空は青くて静かに美しかった。

< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop