3つのR
「あの・・・でも」
テーブルの上の銀色の携帯電話。それをじっと見ながら、私は口をあけた。
「うん?」
「私は、必要ないんです、携帯電話」
仕事も家の電話があればいいし、パソコンのメールが主な手段になっている。連絡を密にしたい友人もいないしな・・・。顔を上げて龍さんを観ると、苦笑していた。
「わかんないかなあ~」
え?私は埴輪のような顔だったに違いない。前の席から姉が指さして笑う。
「ダ~メよ、右田君!この子にはハッキリと言わないと!慎重すぎて、判断するのに人の倍かかるんだから!」
そんなに笑うことなんでしょうか。いつものことなので腹も立たないが、とにかくどういうことなのか教えて欲しくて私はムスッとする。龍さんが苦笑を和らげて言った。
「持ってて欲しいんだよ。――――――――俺が、いつでもジュンコさんと連絡取れるように」