3つのR
変身後の私。姉に連れて行かれた美容院のやたらと迫力のあるお姉さん(どうやら有名なヘアメイクさんらしい)が、私に任せて!2万円で、あなたにぴったりの髪型にしてみせるわ!と大きな声でいい、躊躇する私の前で姉がさっさと頷いてしまったのでそのまま流されてしまって―――――――確かに、変身した。
顎下、耳が隠れるまでのボブカット、前髪を「え!?」と思うほど短くして、全体にアッシュブラウンなる色を入れてくれた(らしい。呆然としている間に終わってしまって、ほとんど説明を聞き逃した)。
引きこもりの為に白い肌と、細い首がむき出しになって、やたらと小顔に見える私がそこにいた。何だか目まで大きく見えるから不思議だ。細い髪の毛の色が薄くなり、そのちょっとくすんだ栗色で余計に肌の白さが強調されている。
・・・あらまあ、これってまるで・・・。
「人形みたいだわ!うーん、何か不思議な魅力が出てるわよ、潤子~!!」
姉が後から鏡を覗き込んで、私の感想を代弁してくれている。自分の腕は今日もいい仕事をした!と思っているらしい迫力ある美容師さんが、満足そうに微笑んでいる。
「おでこを大目に出すことでイノセントな雰囲気にしたの。肌が白いし線が全部細いから、首筋はいっそ出してしまったほうがあなたの繊細な美しさを醸し出せるわよ!」
・・・そうですか。美容師さんの言葉には苦笑してしまったけれど、化粧もしていない私はまるで年齢不詳の外国の田舎の娘さんみたいだった。一瞬10代にも見えるし、年齢相応の30代にも見えるという不思議な感じだ。
「よーし、では次へ!」
姉が嬉しそうに代金を支払い、私が何の感想も言ってないうちに店から連れ出す。そして次は姉が贔屓にしているらしいセレクトショップだった。