3つのR
「潤子はなんというか、ナチュラルテイストが好きだけどさ、その髪型にそんな格好したんじゃ若作りの痛い女に見えるから、服はシンプルでモードな方がいいのよ!」
レースが裾についたロングスカートなんておさらばよ!ロングスカートはきたいなら艶のあるブラックにしなさい!それに、もっとデコルテの開いたプルオーバーじゃないと!パーカーとかボタンのついたブーツなんてポイよポイ!突き上げた拳を振り回して姉がそういう。
ぐさぐさぐさ。またもや姉の言葉は私に突き刺さる。・・・私の好みはずっと変わってない、ってことは、お姉ちゃんたらずっとそう思ってたのかしら・・・。ああ。若作りの痛い女・・・。
友達らしいショップ店員さんと姉がぼーと突っ立つ私をじろじろと眺めながらどんどん服を目の前に積み上げていく。そして私は命令されるがまま何着が着替え、またもや姉が支払った。
「ありがとうございました~」
店員さんのその声を聞きながら、私はよろよろと、姉は意気揚々と店から出た。あ・・・疲れた。これだったらゴミ拾いの方が何倍も楽しいわよ・・・。私はそう心の中で呟いて、とぼとぼと姉の後をついていく。
「あ・・・お姉ちゃん、お金返すから。今日の分、全部でいくらかな?」
銀行の前を通りかかったときに姉の腕を指でつついてそう聞くと、くるりと振り返った彼女はいらない、と返事を寄越す。
「そんなわけにいかないよ。だって私のなんでしょ?」
「私のが稼いでるんだから、気にしちゃだめよ。何なら今年の誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントってことにすればいいわ」