3つのR
彼の指先が気になって仕方がない。遅ればせながら漸く反応した体は私の体温を上昇させて、頬を染めはじめる。
嫌じゃないってことに、自分でも困惑したのだ。
男の人に触られている。野外で、突っ立ったままで、こんなに近くで。なのに―――――――――嫌じゃないなんて。
うーん、いい趣味だなあ~。龍さんがそう言いながら、指先で私の首筋から肩までをするりと撫でる。
「これで少なくとも外見は・・・パッと見は、ちょっと前のジュンコさんとは違うでしょ。人に与える印象もえらく違うはずだよ。持ち物も変えて、化粧も変える。そうしていたら、その内それが普通になって、過去の自分とは全然違う考え方もするようになるんだ」
――――――――――・・・そうなの、かな。そうやって人間って変わっていくのかな。だとしたら・・・。私も十分、変化できるってことなのかな。
ぼんやりとそう思った。
川原は今日も風が強くて、私の前に立つ龍さんから風が生まれて吹いてくるようだった。初夏の日差しはそれなりに強く、キラキラと風景を輝かせている。
眩しくて、目を閉じた。それに龍さんの指先を心地よく感じていた。なんだか安心してしまって、私はふう、と肩の力も抜いてしまう。
すると低い声が聞こえた。
「・・・ダメ」
「え?」
龍さんがいきなり、私の頬をむにゅっと掴んだ。