3つのR
「前に言ってた野郎だ?犬の散歩している若い男で、ジュンコさんをご飯に誘った人?」
私は更に体を固くしながらコクコクと頷いた。声はまだそんなに不機嫌そうじゃないけど・・・言葉が、怖いです~。野郎って、野郎って~!
「また、って言ってたな。もしかして今日も誘われたとか?」
「え?」
私は驚いた。何でそんなこと判るの?もう十分にビビッていたから、目が泳ぎまくっていたらしい。龍さんが真顔のままで言う。
「ものすごーく動揺してるよ、ジュンコさん」
「う」
「ご飯、誘われたんだ?」
「あの・・・はい」
冷や汗まで出てきたらしい。力を失った私の手からゴミ袋が落ちて、ガシャンと音を立てた。
「あ・・・」
慌てて袋を拾おうと中腰になる。すると龍さんもぱっとしゃがんで座り、そのままで私とばっちり目線を合わせた。
「――――――――」
固まる、私。
中腰のままで時間が止まったように静止してしまった。