3つのR
しゃがんで私より低い位置になった龍さんが、見上げながら小首を傾げた。
「ジュンコさん、あの人好きなの?」
――――――――え?いえいえ、まだそんな、そこまで親しくないし・・・・。口に出して言ったつもりが心の中だったらしい。真面目な顔でじいい~っと見詰めながら待つ龍さんにハッとして、私は何とか声に出す。
「いや、あの・・・まだ知らない人だし・・・好きも嫌いもないというか・・・」
中腰から力が抜けて、私もそのままでしゃがみ込む。ゴミ袋を真ん中にして、龍さんと私は公園の端っこで座り込んで向かい合っていた。
何なの、この構図。頭の中はパニックだったはずだけど、えらく冷静にそう呟く自分もいた。
ふーん、と龍さんが前で唸る。タレ目の瞳が相変わらず私をじい~っと見詰めたままで、私は蛇に睨まれた蛙状態だった(見たことはないけれど)。
ちょっと・・・動悸が。あ、もしかして眩暈も。ううう・・・このままでは耳鳴りもしそうな緊張・・・。
龍さんがぼそっと、呟くように言った。
「・・・なんか、落ち着いていて紳士的な人だったな」
「え、っと・・・あ、そうね。穏やかで・・・優しそうな人ね」
「犬も可愛いし」
「クリちゃん?うん、可愛いわね」
う~・・・と龍さんが唸る。眉間にきゅっと皺がよって、一気に不機嫌顔になった。
「龍さん、あの・・・どうして怒ってるの?」