3つのR
ぶつぶつと一人で何か言っている。その間も彼の手は、よしよしと私の頭を撫でていた。
大きくてゴツゴツしてて、そして温かい手。繰り返し撫でられていて、火山が爆発したみたいだった私の心も落ち着いてくる。
膝にかかるスカートの生地に黒いシミが見えた。やっぱり私のマスカラは涙でとけちゃったらしい。ああ・・・おうちの、自分の部屋に帰りたい。
大人二人がしゃがみ込んで、昼間の公園で、何やってるんだろうって、きっと周囲の人は思ってるだろうな。龍さんが私を苛めてるように見えるかもしれないな。そんなことを、スカートについたシミを見ながら思っていた。
「・・・俺はさ」
さっきよりも優しい声が聞こえる。
「ジュンコさんともうちょっと仲良くなりたいんだよ。でもあんた、やたらと引っ込み思案で中々笑ってくれないからさ、無理しちゃダメだって思って・・・かーなり慎重にやってきたんだけど」
・・・中々笑わない。引っ込み思案。それは事実としてよく判っていたけれど、私は一々落ち込んだ。ますます膝の間に頭がのめり込みそうだ。
龍さんの声は続く。
「だけどこれ以上ノロノロもなあ~・・・。他の野郎に手ぇ出されて横取りされたらムカついて暴れそうだし、俺」
「へ?」
暴れる!?その単語だけが耳にストライクに入って、怯えた私はパッと顔をあげる。目の前の龍さんは優しい顔をしていたけれど、一瞬目を丸くしたと思ったら―――――――――爆笑した。