3つのR
一応は探したのだ。だけど久しぶりの女友達に囲まれて、話に夢中でしばらく忘れていたのだった。高田君は簡潔に、一番後ろのテーブル、と答える。きっとそこには男性陣が集められているのだろう。
私はソファーに浅く座って、高田君に笑ってみせた。
「それよりも、おめでとう。高田君も結婚したのね?」
彼の左手薬指には白く光る指輪がはまっている。これはまさしく結婚指輪だ!というような、控えめだけど隠しようもない高級感を放っていた。
珍しく、無表情で有名な彼が微笑のようなもの、をした。若い時よりはハッキリと微笑みになっている。私はそれを驚いて見詰める。・・・あらまあ、完璧な美男子ね、って。きっと彼の結婚生活は上々なのだろう。これだけの人間らしい微笑が出来るようになったのだから。
元々綺麗だった男の子は、愛する女性を手に入れて更に格好良くなったのだろう、そう思ったのは当たっていたようだ。
「・・・そう、去年、結婚したんです」
「良かったわ、本当に。高田君には私達のことで苦労ばかりかけたから。自分の幸せを追いかけて欲しかった。住所、聞いたら教えてくれる?」
彼は微笑したままでゆっくりと首を振る。
「お祝いはいりません」
・・・バレたか。
「貰ってくれないだろうなあとは思ったんだけどね。でも私があなたに出来ることって本当にないから」
「潤さんが元気そうで安心した。それで十分」
相変わらず、口数は少ないけれど優しい人だ。私は彼から視線を外してすうっと息を吸い込んだ。
「高田君・・・まだ会社は同じなの、あの・・・」
「孝太と?」