3つのR


 何とか目的地に辿り着いてから、すぐにここに連れてこられて気分が落ち着くまで寝てよーぜ、と龍さんが言ってくれたのだった。

「ごめんなさい、来てすぐにこれで」

 そう言うと、龍さんはケラケラ笑う。

「何で謝るんだ。別に予定は立ててない、ゆっくりしたらいいんじゃないの~?」

 有難いな、そう思った。この旅行は急に思いついたことらしく、元々観光地が近いわけでもないから着いてからどうしようかなって考えてたんだ、そう彼は話す。だから、ジュンコさんの体調治るまで寝てようぜって。

 気分がよくなったところでようやく、昨日の夜の疑問を思い出した私は龍さんに聞いてみることにする。

「ねえねえ、どうして高原なんですか?龍さんって海のイメージがあったな、どちらかというと」

 ん?と彼は眩しそうに目を瞬いて、ごろんと横を向いた。

「うーん・・・。俺もそう思ってたんだけど、うちの店長の影響で最近は山が好きになってきたかなあ~とは思う。緑に癒されるというか。・・・まあジュンコさんが暑さに弱そうだから、涼しいところの方がいいかなって思っただけ」

 ふうん?私は首を傾げる。彼が勤めている居酒屋の店長さん、よく話題に出てくるこの人は、よっぽど龍さんに影響があるんだな、と思った。

「店長さん、山が好きなんですか?」


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