3つのR
「眠れたから、いいの。目的は達成」
龍さんは呆れた顔で私を見ていたけど、その内笑い出した。
「ジュンコさんってたま~にマジで驚くわ。ほんと、おもしれ~」
何が面白いのかは私には判らない。だけど繋いだ手が暖かくて木漏れ日は優しくて、目の前の白と緑の世界は本当に心が安らいだ。
だからニコニコと笑っていた。
その、龍さんの友達の奥さんが好きらしいペンションは、いかにも!なペンションだった。ログハウスちっくで大きな庭があって、ベランダにはカフェ風のコーヒーテーブルが置いてあるような、あんな感じ。主がヒゲ面で黄色いエプロンや赤いバンダナなんてしてたら最高、そう思ってたら、そのイメージ通りの人が出てきたからビックリした。
「お世話になりま~す」
龍さんはすぐに仲良くなる。私は彼が手続きをしている間に、ダイニングの窓辺に近寄っていた。
そこには色とりどりのガラスの置物が。お城やエッフェル塔や、他にも世界の有名な建物などのクリスタルな置物。あとは琉球ガラスや伊万里などの焼き物も。それらが手編みのキルトらしいラグの上に雑然と並んでいて、それは見事な一角だったのだ。
光が入る窓辺にあって、それぞれがキラリと輝きを放っていた。
「ガラスが好きなんですよ、綺麗でしょう?」
後ろから声がしたので振り向くと、小柄で顔中を笑顔にした女性が立っていた。ここの主と同じバンダナをしているところを見ると、奥さんらしい。