3つのR


「こんにちは」

 私は挨拶をしてもう一度ガラスたちに向き直る。キラキラと光って、部屋の中に特別なあかりを入れては反射している。

「ほんと、綺麗ですね」

 この赤なんて凄く素敵、そう言って琉球ガラスのビールグラスを指差すと、奥さんは嬉しそうに言った。

「私もそれが一番好きです!それは新婚旅行で沖縄で買ったものなんです」

 わあ、それは記憶もセットで素敵だわ。

 赤の中に時折黄色が光るそのグラスから目が離せなかった。何色っていうんだろう・・・こういう赤は。

 いいなあ、こんなイヤリングや指輪があったらきっといいだろうなあ~・・・私の頭の中では白紙にスケッチがされていく。ここは、別のガラスをいれるのもいいかもしれない・・・あとは花のモチーフなんかも・・・。

 女の子が白い指に嵌めると、光を集めて光るような・・・。

「ジュンコさ~ん」

 トントンと肩が叩かれた。

「え?」

 振り返ると龍さん。多少、膨れっ面。

「かーなり夢中なところ悪いけど、とりあえず荷物置きに部屋にいきたいんだよね~。俺一人で行ってこようか?」

「ああ、ごめんなさい」

 慌てて向き直った。

 奥さんがくすくすと笑う。

「食事は7時でいいですか?ごゆっくりどうぞー」

「ありがとうございます」


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