3つのR
いつも何かを企んだように光っているあの瞳は閉じている。規則正しい寝息が聞こえたので、夕食まで時間があるしと思った私は声をかけるのをやめた。
私は龍さんを起こさないようにそうっとドアを開けて廊下へ出る。
ダイニングまで歩いていくと、夕食の準備をしているらしい主夫婦に会った。
入ってきた時にガラスに夢中になってしまってここの説明を聞いてなかったのだ。お風呂はどうしたらいいのかを、私は改めて奥さんに質問した。
「夜の10時まででしたらいつでも入れますよ。今日はもう沸かしてありますし、他にお客さんもいないですからご自由にどうぞ」
にこにこ~っと笑ってそう言ってくれたので、お言葉に甘えることにした。
部屋に戻るとやっぱり龍さんはその格好のままだった。・・・疲れて寝てしまったんだな、と思う。私は出来るだけ音を立てないように支度をして、もう一度龍さんを覗きこんだ。
規則正しい呼吸。しっかり夢の中に入ってしまってるみたいだ。
いつもは居酒屋から帰って昼まで寝るといっていた。私と付き合うようになってから朝起きてるよ!って笑ってたから、今日も午前中はきっと眠かったのだろう。
私は一度だけ彼の頭を右手で撫でる。それから、起こさないようにと部屋の電気を全部消して、お風呂を貰いに部屋を出て行った。