3つのR
ペンションには二つの家族風呂があって、今日はそのうちの大きな方にお湯を張ってくれたみたいだった。私は広いお風呂が嬉しくてうふふと笑ってしまう。
よく歩いたー・・・。それでも春からしているゴミ拾いのお陰で体力は増しているらしく、足がそんなに痛んでないのは驚きだった。
やはり何事も継続なのだ。続けることで、他の色々なことにも効果が現れ始めるのだろう。
髪が短くなっていいことの一つは洗髪の簡単さがある。手早く洗ってしまって、その香りに気がついた。・・・あ、これはカモミールの香り。
奥さんが手作りしているシャンプーみたいだった。シャンプーのボトルも好きだと言っていたガラスで、黄色いシールが貼ってあってそこに「シャンプー」と書かれていた。あはは、可愛い。一つ一つに愛情をかけられているこのペンションが羨ましく思えてしまう。
ここの夫妻は、夢と一緒に住んでいるのだな、と思った。
外も段々と暗くなってきて、ぼんやりとした明りの中、湯気で一杯の浴室で、私はほお~・・っと湯船に浸かる。
ああ、いい気持ち。
お湯がサラサラと素肌を流れていって、その感触にうっとりと目を閉じる。
龍さんも後で入ったらって絶対に言おう。高原で下界よりは涼しいとはいえ、やはり太陽が当たればそれなりに暑くて汗もかく。龍さんも食事前に入りたいかな、起こしたらよかったかな?
そう考えて、いや、それでは彼はきっと一緒に入ろうとニヤニヤしていったはず、と気がついた。一緒に泊まることの意味は判ってるとはいえ、流石にお風呂を一緒は恥かしすぎる。だってようやく手を繋いだってくらいの私達が!