3つのR


 ぐぐーっと身を縮めてから、彼はほお、と息を吐く。

 それからくるりと振り返った。ベッドサイドの明りに浮かぶ笑顔は、もういつもの龍さんのそれだった。

「手首、痛かっただろ、ほんと悪い」

「・・・大丈夫。だけど、驚いた」

「それに怖かったよな。あんな怯えた顔させちまって・・・」

 龍さんが寝転んだままで私の右手を引き寄せる。そして自分が強く掴んだあたりを指でつつつと撫でた。

「・・・あーあ、折角のジュンコさんの綺麗な肌が。俺ってば、全く」

「大丈夫よ、ほんと―――――――――」

 そこで私は言葉を飲み込んだ。

 だって、龍さんの唇が。

 私の手首に当てられて―――――――――――


「・・・うーん、いい匂い。それに、柔らけー」

 ちゅっと音をたてて、彼がはむはむと私の手首を食べている。

「りゅ、りゅ、龍さん!」

 はーい?手首にキスを繰り返しながら、彼はにやりと笑って返事をする。薄く開いて私を見上げた瞳は、既にさっきとは全然違う光が揺らいでいた。

 私は急に全身が発火したかのような熱さを感じた。

「あの・・・あの・・・手を」


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