3つのR
彼は私を見下ろして、ぐぐっと眉間に皺を寄せた。思いっきり不機嫌な顔をして、ついでに舌打までした。
「・・・・しゃーない。飯を作ってくれる人を待たすことは、俺にはどうしても出来ない」
そう言うと呆然としている私の上からパッと飛び降りた。
そして手ぐしでザッと髪を整えると、まだベッドの上で間抜けな顔をしている私を振り返ってにやりと笑う。
「ほら、いくよ、ジュンコさん」
「・・・・あ・・・はい」
私は何とかそう返事をすると、ゆっくりと体を起こした。
まだ彼の唇を受けたところが、私の耳朶や鎖骨周りや首筋が、熱を持って音を立てているようだった。顔も熱い。きっとダイニングの明りの下では真っ赤な自分が鏡にうつるはずだ。ドキドキしていて、その心臓の音が足にまで響いているようだった。
だってだってだって、急に、龍さんたらあんなこと・・・。
今夜、勿論そうなるだろうってことは頭では理解していたのだ。だけど、いきなりそんな展開になるとは思わなかった。全くの無防備な状態で組み敷かれてしまって、私は今、完全なるパニック状態だ。
龍さんは部屋の入口でドアに肩を預けて私を見る。
そしてにやにやと相当悪そうな企んだような顔をして、言った。
「早く行こうぜ。―――――――ご飯が済んだら、ゆっくり今の続きするからさ」
血圧が上がって、死ぬかと思った。