3つのR


「―――――――抱いたらジュンコさん、熱出すかな?」

「・・・いえ、そんなことはないと思う・・・けど」

「じゃあ試していい?」

「・・・・ううーん」

 私がうんと言わずに唸ると、彼はしゅっと不機嫌な顔になった。一気に眉間に皺を寄せて、部屋の中のアチコチを半眼でじろじろと見回す。

「・・・どうしたの?」

「いや、何か殴れるもんないかなと思って」

「・・・止めて頂戴」

「じゃあ触らせて」

「――――――――どうしてそうなるの?」

 龍さんが困った顔で私を覗き込む。垂れ目が真っ直ぐに私を見ていて、まるで魔法にかかったかのように私は言葉を失ってしまった。

「ねえ、俺もう31だよ。中坊や高校生のガキみたいにガツガツしねーよ。ジュンコさんが嫌がるなら途中でもやめるから。・・・・多分」

「た、多分?」

 バサッと音をたてて、彼が私を覆っていたかけ布団をはいだ。

 わあ!私はそう叫んで取りかえそうと手を伸ばす。その手をあっさりと自分の手の平で包み込んで、彼は簡単に私を下敷きにした。


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