3つのR
あ―――――――ええと・・・はい。照れてしまって言葉が出なくて、とりあえず私は頷くだけだった。龍さんがおいでと歩き出す。
「俺汗臭いの何とかしたいし、一回部屋戻らせて」
はい、と返事をして、それから私は歩きながらどうやって話すかのシュミレーションを始める。あのね、と普通に話し出してちゃんと言えるだろうか。大体何ていえばいいの?同棲しましょ、って言えばいいのよって姉は喚いてたけど、まさか、そんな!・・・ということは、私と一緒に住んでくれませんか、とか・・・。
勝手に一人で凹んだ。
・・・・いやいや、まるでプロポーズののりだわよ、それでは。そんな恥かしい台詞言うくらいなら、姉の説得を頑張ったほうがまだ楽よね。
顎に指を当てて考え込む。それに、私は一緒に住んで欲しいわけじゃないのよ。だから龍さんに姉の結婚のことを言って、それでこうしたら?って提案されたけど、それは龍さんも困るよね?って、そういう風に持っていかなきゃならないんだから。
龍さんには断って貰いたい。だけど、私は嫌がってるわけではなくて、そうじゃあなくて、一人で住むってことにこだわっているのだって理解して貰わないといけない。
じゃあ、じゃあ―――――――――――
「ず~っと考えてるよね、ジュンコさん。難しい顔してるけど、似合わないよ?」
龍さんが苦笑した。私は気がつけば既に龍さんのアパートのエレベーターの中にいたらしい。え?とキョロキョロしてしまった。
「そんな難しい話なわけ?俺に理解出来る、それ?先にいっとくけど俺バカだよ」
苦笑したままで龍さんはさらっと言って、ついた、とエレベーターの開ボタンを押してくれた。