3つのR


 私は力むあまりに両手を握り締めてしまっていた。口をぽかーんとあけたままで、しばらく龍さんを凝視する。

 ・・・え?オッケー?おっけーって・・・そんな、アッサリ・・・。

 私が呆然としていると、彼はもう一度水を喉を鳴らして飲んでから、にっこりと笑った。

「同棲ってこと?いいじゃんいいじゃん、それって最高~。つーか、ジュンコさんそれが言えなくてあんなに挙動不審だったわけ?俺はてっきり別れ話と思ったぜ~」

 あははははは!だってあの顔~!そう言って龍さんは、床に座って本格的に笑い出した。バンバンと手まで叩いている。

 私は両手を胸の前で握り締めたままで、まだ口を開けて立っていた。

 ・・・・あら?あらら?

 ええーっと・・・・おかしいな。同棲・・・は、しないはずだったんだけど・・・。あれ?でも龍さんがオッケーって。私・・・私、何て言った?

 一緒に住めないかなって思って――――――――――――――

「・・・うあ~・・」

 龍さんの小さな部屋の中では何がそんなに面白いのか膝を叩いて爆笑する男と、思惑とは全く違うほうへ落ち着いてしまって、それにショックを受ける私がいた。

 別れなんて全然考えてなかった。だから私は本当に驚いて、つい弾みで誘うような言葉を言ってしまったらしい。それにあっさりと龍さんがのっかってしまい、それで話が終了となってしまったのだ。

 笑うのを止めた龍さんが瞳を細めてにやりと笑う。そして立ち上がるとたった一歩で私の前に近づいて、未だ固まったままで動けない私をふわりと包み込んだ。

「ひゃっ・・・龍さ――――――」


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