3つのR
「どんな苛め方したいのか具体的に聞きたい?例えばの話で、聞いてみる?」
「聞きません~っ!!」
私はそう叫んでガバッとソファーから立ち上がった。もう、もう、もう~!!顔がカッカしていた。あんな顔をしている龍さんは、きっとろくでもないことを言うに決まっている。絶対そうだ。聞かないべきだ!
ケラケラと笑う彼の声を後ろに聞きながら、私は元姉の部屋で今私の仕事部屋のドアをバンと閉じた。
後ろ手にドアを閉めて、しばらくそのままで突っ立っていた。
ドキドキした。
彼のあんな顔を知ってしまって、私は本当にドキドキした。
3つのRを教えてくれた先輩っていうのは、あの話に出てきたボクシングを教えてくれた人なのかもしれない。
その出会いを無駄にせずに、龍さんは強くなった。過去の自分から変わるために、教えてもらった3つのRを実践したと言っていた。
私に会って、それをまた教えてくれた。
あれは、とにかくもがいて前に進もうとする人の為の、背中を押す温かい手なのだ。
今では私の仕事部屋になった部屋を見回した。壁にはまだ3つ目のRを書いた紙を貼ってある。ここで私は生活費を生み出し、社会とかかわりを持って、元夫との生活から離脱しつつあるのだ。
元夫がくれたお金は今ではほとんど使わずに済んでいる。仕事をみつけ、外へ行き、新しい恋をして。
そして私も―――――――――――ここまで、変われた。