3つのR


 そんなことが増えたのだ。

 彼の、様々なことは結構その幼少時代の暴力に由来していて、人間ってやはり過去から出来てるんだよね、と思うほどに。彼が今まで自分のことを進んで説明しなかったのは、幼少時代のことを話せなかったからだったのだ。

 私はその話を聞くと悲しくなるけれど、それ以上にそれを乗り越えて強くなった彼を誇らしく思うのだ。

 努力して、彼は変わった。

 だから私は、今、一緒にいれるのだなって。


 姉は宣言通りに実家へ戻り、週に3日、彼とその娘さんと住んでいるらしい。うちの母親が心配して色々と世話を焼こうとしては姉に叱られている。

 だけど、心配したほどには軋轢はないようだった。うちの両親は突然出来た義理の孫に驚きはしたけれど、我が家には今までいなかった若い生命力を目の当たりにして可愛いと思う気持ちの方が大きいらしい。

 子供がいる~!!という興奮だ。

 姉が何度もまだ早いと言っても、彼の娘さんと一緒に遊びに行こうと企画をするらしかった。

 姉の彼はそれを有難く思ってくれているらしいので、いいのじゃない?と私は言っておいた。困惑してオロオロしたり、どう接していいかがわからずに気まずい思いをするよりもいいはずだし。

 姉が龍さんのことを色々話したらしく、母は電話をかけてきて是非一度夕食に彼氏といらっしゃい!と強く勧める。私はそれに辟易していたけれども、龍さんはケラケラと笑っていいじゃん行こうよ、と私を誘う。それはもうちょっと覚悟が出来てからね、と私が言うと、またいつものあの、にやりとした笑顔を見せた。


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