3つのR
「覚悟?それって何の覚悟なわけ?――――――――ジュンコさん、俺の嫁になってくれんの?」
ゴホゴホゴホ!
「娘さんを俺に下さい!って言いに行く覚悟?別に俺、それならいつでも出来るけどさあ、問題はスーツがないってことなんだよ。穴あきジーンズではやっぱり問題でしょ?」
ゴーホゴホゴホゴホ!!
私はしばらく咳き込んで、無駄に苦しむ羽目にはった。ゲラゲラと大爆笑して龍さんは手を叩く。ああ、あんた本当におもしれーなあ!そう言いながら。
そんな風にして、秋が過ぎていく。
去年、まだ夏の残りがあるあの夜に、救急病院で衝立の陰から倒れこんできたボロボロの男の人は、今では私の隣にいて、タレ目を優しく細めて見詰めてくれる。
彼は最初の頃は山神に飲みに来てよって誘っていたのに、一緒に住みだしてからはちっとも言わなくなった。
私はそのわけを問い詰めてみることにした。ある夜、仕事がない龍さんが、私の仕事部屋でダラダラ寝転んでいた時に。
「ねえ、龍さん」
「あいよー」
彼は週刊マンガを読みながら床に寝そべってその大きな体を部屋中に伸ばしていた。・・・結構、邪魔なんだわ、私はそう思ったけど、それの苦情は言わずに質問を続ける。
「以前は山神に食べにこいって結構言ってたのに、最近は言わなくなったのはどうして?」