3つのR
「・・・高かった、と思う。よく判らないけど」
「ひょろっとしてるの?もやしっこみたいな?」
「え?ううん。いい体してると・・・思うよ。肩幅も広かったし、腰は細かったけど」
「おおー!それでイケメンは美味しいわね!連絡先聞いたの、潤ちゃん?聞いたんでしょ勿論?」
私は呆れて姉を振り返る。そこには小さな目をキラキラと何かの光で輝かせている企んだ笑顔が。
「――――――聞いてないわ。だから、彼には多分2度と会わないのよ」
ええーっ!??姉が絶叫した。・・・煩い。至近距離でその甲高い声を聞いてしまって私はくらくらする。出来るだけ急いで部屋を横切り、自分の席について姉から離れた。
「ちょっとちょっと!?バッカじゃないの、あんたー!!そんな、イケメンでガタイがいい男に出会う確率は、この町ではゼロに近いのよ!何してんのよ~っ!!結構長い間喋ったんじゃないの!?」
・・・私は治療をしに病院にいったんですけどね。それは声には出さず、瞳にうつした(つもり)で姉を凝視する。彼女は華麗にその視線をスルーして、潤子はバカだバカだと罵った。
「チャンスはもぎ取ってでもモノにしないと!」
拳を振り上げる姉にため息をつく。チャンスって・・・一体何のチャンスなのよ、それ。
「食べようよお姉ちゃん」
「私はショックを受けてるのよ!折角の出会いをみすみすと逃した妹がふがいなくて泣きそうだわ!」