3つのR
二人とも基本的には家の中での仕事をしているので、たまにお互いの存在が気になってイライラしてしまうときがあるのだ。現在は、姉がそうなのだろう。だから私に外出願いをしているのだろうって。
姉はクマの出来た目元を乱暴に擦って重いため息をついてから頷いた。
「・・・そう。悪いけど、体調いいなら今日は外でお願い」
「うん、大丈夫。私ついでだから検診もいってくるね。ここ最近行ってなかったし、久しぶりだから村上先生の顔も見たいし」
「ありがと、恩にきます。今日中に何とかやっつけるわ、私も」
「どうしようもないから無理してるんだろうけど、息抜きしながらやってね」
「うん。潤子もしんどくなったら無理せずに帰ってきたらいいからね。精神統一して乗り切るわ」
そういうわけで、肩の上に子泣き爺を3匹くらい乗せているのかと思うほど沈みこんだ姉を置いて、私はうららかな3月の光の中を出て行った。
・・・ああ、大分暖かくなってきた・・・・。道の木蓮の木には既に白い花が存在を主張している。私はそれを楽しんでから、目を伏せて顔に風を受ける。もうすぐ土の匂いがしてくるはずだ。きっと木々もつぼみがたくさんついているのだろうし、もしかしたら桜も、もう―――――――――――
私の好きな季節が来た。