3つのR
お釣りですよ、と言われて慌てて貰う。
「すみません」
「いいえ。お大事に~」
ペコリと頭を下げて素早く離れる。もう、私ったら・・・恥かしいったらないわ。
自分で勝手に恥かしくなって財布を鞄に仕舞う。ああ、そうだあの人に挨拶してかなきゃ―――――――
そう思って顔を上げると、さっき座っていたところには既に彼の姿はなかった。・・・あらら。帰っちゃったのかな?さっきよりはもっとハッキリとガッカリして、仕方なく出入り口の方へ歩き出したら、ドアのところに件の彼の姿を発見した。
あ、いた。
立ち止まった私に彼はヒラヒラと片手を振る。
「会計、終わった?ジュンコさんて結構おっちょこちょい?」
にやにやしているのは私がお釣りを忘れかけたのを見ていたかららしい。ううう・・・何てこと。
「見てたんですね」
「うん」
とりあえず帰りの挨拶をしようと彼のところに行って、目を合わせるために見上げる。やっぱり高いなあ!元夫と同じくらい・・・もしくは、この人の方が高いかも。ついしみじみと比べてしまった。
彼は見られることに慣れているのか私のガン見にも平然として、あの色気ある笑顔で私を見下ろしながら言った。