3つのR


「ジュンコさん、腹減ってない?」

「え?あ、お腹・・・空いてます」

「時間もいいし、俺とご飯しない?」

「え、ええと・・・」

 何度か瞬きをした。私ったら、ご飯誘われちゃった!そう思って、つい緊張する。うわああ~・・ええと、一体どうしたらいいんだろう。こういう時って、どう返事したらいいのだっけ?私が一人でわたわたと焦っている間に、実に自然に誘いの言葉を口にした彼は何でもない風に歩き出してしまう。

「あ・・・あの――――――」

 ちょっとちょっと、私まだ返事してないんだけど・・・。だけれどもそれは口に出来ず、とにかく私は大きな背中のあとを追った。


 病院を出たところで春先の光を全身に浴びながら、彼が振り返る。垂れ目を細めて、口元をひゅっと上げて。

「それで、オッケー?」

「え?・・・ええと、はい」

 どっちにしろ、今日は家にはまだ帰れないのだ。私は姉の姿を思い浮かべてそう思った。だからこの人とご飯を食べて時間を潰すのはすごくいい考えだと思うって。一人で散歩するよりも・・・楽しそうだし。

「そうですね、お昼しましょうか」


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