3つのR
彼がそのまま無言になったので、私がうんと言うのを待っているのだとようやく気がついた。ので、とりあえず返事はすることにする。
「わ、私の方が2歳上です。でも、あのー・・・ええと、はい、判りました」
俯いて料理をしているらしい彼の口元がひゅっと緩んだ。あ、また笑ってる・・・本当この人はよく笑うなあ。ちょっとばかり煩くなった鼓動を無視して、固い木の椅子を引き出した。
「・・・首にならなかったんですね」
そういえば。去年の秋に喧嘩して病院に来ていた彼は、首になるかも~って言っていたはずだ。だけど、確か勤めている店の名前はここのようだったと思う。
私の質問に、そうそうと簡単に頷いた。
「店長は首にしたかったみたいだけどね~、オーナーが大目に見てくれたから助かったんだ。オーナー様様だよ、ほんと」
「良かったですね。店長さんには何もされなかったですか?」
何だかかなり怖い店長だって言ってたはず。でもさっきの電話では仲良さげだったけどなぁ。私がそう言うと、何がおかしいのか彼はくっくと口の中で笑った。
「うん、嫌味攻撃と弁償だけで済んだ。殺されるかと思ってたけど、そうならなくてホント良かった~!」