3つのR
「はい、お待ちどう~」
ハッとして振り返ると、龍さんがカウンターから手を伸ばして私の前にお皿を置いてくれたところだった。ふわりといい匂いが私を包み込む。
無意識に唾を飲み込んだ。
「4種のチーズピザとアボカドサラダ、ナスとミートのドリアですよ~」
「・・・わあ!」
勿論私は驚いた。魔法みたいな早さで、やたらとゴージャスな洋食が目の前に広げられたからだ。だってここ、居酒屋でしょう!?・・・あ、そうか私が洋食がいいって言ったんだった、あ、それにこの人元々イタリアンだったって言ってたか。
色々な情報が頭の中を駆け巡る。だけど表面上は、私はただ単に目を見開いて固まっていたのだった。
「――――――わあ、だけ?」
くらーい声が聞こえて、顔を上げるとそこには仏頂面になった格好いい男性が。眉間に皺がよっていて歪めた口元は不機嫌そのもの、私はあっさりとビビった。
「ああああの、と~っても、美味しそうです!」
「食ったらもっと感動するはずだ。食べて食べて」
「あ、はい!」
頂きます!そう叫んで、私はワタワタと差し出されたスプーンとフォークを受け取る。まだ驚いていたけれど、とにかく一掬いしたドリアを口に突っ込む。
―――――――――――熱っ!!